8.イタリア:師にならえ!

今さら言うのもなんだが、私の彼(以下ピエ-ル)はイタリア人である。彼はイタリア人なので、イタリア人らしい楽観的な部分 もあるのだけど、どちらかというと、超働き者で、規律を守り、妥協を許さないという、イタリア社会の中ではストレスをためやすい性格の持ち主である。超働 き者なだけに、仕事の依頼は多いのだけど、公の手続きなどもキッチリキッチリやってしまうので(本来はそうじゃなきゃいけない)、法律のころころ変わるイ タリアにいては、かえって「ああ!あんなきちんとやる必要なかった!バカをみた!!」と後悔する事が多い。

イ タリアという国は、よく言えばフレキシブル、悪く言えばアナ-キ-な国なので、「まっいっか~」とか、「こんな感じに適当にやっておけばいいかな・・・」 などという、はっきり言って"いいかげん"な人間の方がうまく生き抜いていけるような所がある。私も日本にいると、一見きちんとしている様で、"まっいっ か~色"が強い人間なので、「ラテンの国があっているのかも・・・」と思いながらイタリアに来てしまったが、イタリアにおける「まっいっか~」のレベルと いうのは、こんな私でさえも「ゲゲッ」っと驚かされるものであった(笑)。

そんな「まっいっか~」の一人に、ピエ-ルの大学時代の友人がいる。彼は面白いし、良い人だし、友達としては打ってつけなんだけど、一緒に仕事をするとなると話は違うであろう・・・。彼は、人一倍「まっいっか~」なのである。いっそのことまっいっか~師匠と 呼びたいと思う(笑)。師匠は、ここ何年間も家でテレビをみたり、サッカ-をしたりのブラブラ生活をしていたらしい。ピエ-ルは、そんな師匠のことが信じ られなかったらしいんだけど、私の思うには、彼は実家が金持ちだから経済的な心配はないし、ダラダラながらも規則正しい生活をしていたのだから、別に良い のではないかと・・・。実際、変な苦労をしている様子はないし、社交生活にも花をさかしていて、イタリア社会で一番必要とされるコネにも不自由していな い。見栄っ張りじゃないし、ごく自然につつましい生活をしているのだ。幸せなら、そういう生活があったっていいではないか。

ピ エ-ルは何かにつけて、「まったく、この国は・・・。国民の80%が奴(師匠)みたいな人間だから、こんないいかげんな事になっちゃうんだよ・・」となげ く。ということは、80%の国民は師匠のようにあっけらか~んと幸せ生活をしているのであろうか???80%とは言わないけれど、そういう人が実際多いの かもしれない。もともと私の思い浮かべていたイタリア人像と言うのも、師匠(+職人さん)の様なものであったからなぁ・・・。

ピ エ-ルのような人は、日本の生活があっているのかもしれない。ピエ-ルの家族もピエ-ル同様かっちりしている人たちだと思う。かえって私の家族の方がイタ リア人ぽいかもしれない。父なんか特にそうだ(笑)。私の父は、日本社会の中をどうやって生き抜いてこれたのであろう???謎だ(笑)。私も、そんな家族 の中で育ったせいか、イタリア生活の中でどんなに嫌な事があっても(その時は、半狂乱だけど)、最終的には「まぁ、こんなフレキシブルな社会の方が自分に は合っているのかなぁ(まっいっか~)」と、イタリアに居着いている。時が経てば経つほど、その気持ちが強くなっていると思う。

今 日も、ピエ-ルはイタリア社会の混乱に腹を立てている。この混乱によって、きっちり屋のピエ-ルは不平な思いをし、まっいっか~師匠は美味しい蜜を吸って いたりするのである。そりゃ~、頭にくるであろう。こんなではいけない事は、私も100の承知である。しかし、ある日突然すべてがきちんとする日など来る のであろうか?このイタリアに!・・・もちろんNOであろう。

こんなことを思いながら、「やっぱりさぁ-、郷に従った方がいいんじゃないの~、師匠のように!」と、ピエ-ルに問いかけたところ、すごい剣幕で「NOっ」と返ってきた(笑)。